【中古住宅ってどこまで改造できるの?】
あのさ・・・木造の家って、それなりに自由に改造できるって聞いたけど・・・どうなのさ?
確かにかなり自由に改造はできるけど、法律や構造の制約はあるよね。それにコストとかの話も。
では、今回は、そのあたりのお話をします。
テーマ
中古住宅は、どこまで改造できるのか?
概要
①はじめに
②在来軸組構法について
③2×4工法について
④ハウスメーカーの住宅について
⑤伝統的構法について
⑥まとめ
①はじめに
木造の構法には大きく分けて5つあります。
(1)在来軸組構法・・・一番、よくある構法です。(ただし玉石混交状態・・・見極めが肝心。)
(2)2×4工法・・・北米が起源の構法で、施工が比較的簡単で、かなり日本でも普及しています。
(3)ハウスメーカー特有の住宅・・・(1)とは別にハウスメーカー独自の構法で、認定をとったもの
(4)伝統的構法・・・よくある古民家では、この工法でなりたっています。
(5)丸太組構法・・・いわゆるログハウスですね。
上記の5つのものにより、できるできないが大きくかわってきます。
以下、順をおって見てみます。
②在来軸組構法
日本に古くからある構造で、基本的に910mm(3尺)間隔を基準に柱の間隔が成り立っています。
一番、身近に見れるものですが、リノベーションの事例としては、大田区 Y様邸 の記事をみていただけるとよいかと思います。
◆特徴
- 日本に古くからあるので技術が浸透しており、融通が利きやすい。いわば一番改造がしやすい
- 設計や施工精度にかなりバラつきがあり、中古で購入した場合、当たりはずれがある。
- 上記に関連して、図面が存在していないものや工事完了時の検査もしていないもの多いので、事前の調査が必須である。
- 耐震技術的な面において、多くの場合が当時の法律ぎりぎりのため、2000年以前のものは、構造的な補強が必要になる。
③2×4工法
在来軸組構法が、柱や梁という「線」を組み立てるように造るのに対して、2×4は、「面」をくみたてるようにします。
◆特徴
- 海外から入ってきたもののため、法律的な規制が厳格。そのため融通がききにくいけど構造はしっかりしていることが多い。
- 施工が簡易になっており、施工精度のバラつきが少ない。
- 高気密高断熱タイプのため、これを造る側と使う側が理解していないと、湿気が壁の中にこもり、カビが発生したりする。
※住宅の断熱化と気密化の記事参照ください。
④ハウスメーカーの住宅
大手ハウスメーカーの標準的な住宅は、建築時の手続きが簡易化されるようにあらかじめ型式適合認定を受けています。
そのため、増改築においては、生産したハウスメーカー以外では、事実上難しいという点があります。
◆特徴
- ハウスメーカーの標準的な仕様であるため、設計、施工にバラつきが少ない
- その一方で、特に構造が絡むようなリフォームでは生産したハウスメーカー以外では手が出せない。
- 当該ハウスメーカーの存在がなくなってしまうと、家の改修がとても困難になる。
⑤伝統的構法について
古民家で見られる構法で、竹富島でもみられました。近頃はリノベーションして、喫茶店や宿泊施設などがでてきて人気が高まっています。
◆特徴
- 昔の構法のため、柱や梁がどっしりとして、価値感を感じる。
- 耐震化の技術も確立されており、耐震化も可能。但し、ハイコストになることもあり。
- 断熱リフォームが必要になる。
※熊本県から2020年3月に「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針・同解説」が発行されました。
計算方法も理解しやすくなっていて、ソフトもついており、伝統建築物の改修が、より進むものと思います。
⑥まとめ
こうしてみると、在来軸組構法が、一番扱いやすいというところでしょうか。
ただ、地震や台風などの災害は、建物に大きな被害を起こすものは、そうたびたび起こるわけではありません(最近は別として)。
その点で、一般的な在来軸組構法では、昔ながらの大工による徒弟制度もほぼなくなっているため、実際の被災事例や実験結果をデータとして記録・分析して、診断・設計の技術として受け継いでいくようになっています。
そして時として、法にも反映されていきます。
診断や設計を担うものが常に学習をし続けなければならない理由は、このあたりにあります。
冒頭に少し触れましたが、在来軸組構法は、玉石混交状態ですので、見極めが大切です。
結論として、
改修のしやすさとしては、在来軸組構法>伝統的構法>2×4工法>ハウスメーカー
※ログハウスも、おそらく後からの改造は難しいと思います。(設計にタッチしたことがないのですみませんが、未知数です。)