大規模な補強工事のl経済的および心理的な負担をいかに軽減するか。
もともと構造評点があまり高くなかったため、比較的大きな補強工事が必要となりました。
しかし、お住まいになられているので、いかに住んでいるオーナー様ご家族の心理的な負担を減らせるかという点で工事個所を設計段階でかなり思考錯誤しました。
そこでひとつの方法として外壁を外から補強することをまず方針に決めました。
但し、このような部屋が三つ、四つと連なる家においては外壁のみの補強だと計算上はOKであったとしても有効な補強とは言えない場合が多くあります。
理由として、木造の場合、基本的に柔らかい構造のため、耐力壁と耐力壁の間隔があいてしまうと耐力壁どうしが連動しにくくなるため、耐力壁の頭をつないでいる1階の壁ならば2階の床、2階の壁でしたら、小屋裏の水平面部分を強化する必要がでてきます。
今回は、補強の軸となる部屋を中心に決め、そこを基礎から天井に至るまで徹底的に補強しました。
このように補強の軸となる部屋を徹底的に補強するというメリットはそこにしか工事業者が出入りしないということです。通常はできるだけ各部屋に補強の壁をバランスよく分散して配置するので、あちこちに工事業者が出入りしてしまい、住んでいる方の負担も大きいものです。
間取りや補強の箇所、そして予算、工事中の心理的な負担などを慎重に考慮していく必要があります。
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