福祉の充実した国、北欧
福祉の充実した国と言われる北欧です。税金も高いのですが、安心して生涯すごせるという今の少子高齢化社会の日本にとり、目指すべき姿のひとつと言えます。
フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークと旅をしましたが、できるだけ徒歩を使うようにしました。
行動の範囲は限られてしまいますが、その国の文化を知り、その街の人々と建築の関係を感じ取るには、徒歩のほうが良いようです。ちょっとした人との会話や小さな習慣のかけらなどを感じやすいのではないかと思います。
出発前までいろいろと情報を得ていきましたが、予想していた感じとは少し違いました。
福祉の充実した国ですから、バリアフリーに配慮したハード面がしっかりと備わっているものと予想していましたが、現地では、それほどスロープ、手すり、エレベーターが至る所に・・・という感じではありませんでした。
むしろ過去の建築物を大切にして、街並みに時間の積み重なりを蓄えるために無理にスロープを設置するのではなく、周囲の人々の何気ないサポートによりバリアフリーを実現するというソフト面による対処が印象的でした。
街中で英語もろくに話せない一人旅の自分に親切に道案内をしてくれて、本当に助かりました。
また、ある小さな美術館では、たまたま自分しかお客がいなかったこともあり、とても明るい青年がつきっきりで案内してくれたのもとても印象に残っています。
建築物本体の寿命に対して、設備配管などはどうしても寿命が短いので、交換する必要がでてきますが、自分の宿泊したホテルでは、壁に露出されて新規の配管が設置してあり、なかなか綺麗にまとめられていました。
日本では配管を「隠す」というのが一般的ですが、あえて「見せる」(魅せる)というのもメンテナンス性が良く、ひとつの解答と思えました。
建替えではなく再生により街並みを形成する場合に、どのようにその時代の人々の生活に対応させるか・・・を考えるきっかけとなった旅でした。
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