耐震補強・改修・増築・リノベーション・中古住宅・空き家・平屋・用途変更 アパート 一内山建築設計室 一級建築士事務所|東京都 東大和市 立川市 武蔵村山市 日野市 国分寺市 昭島市 国立市 小平市 大田区

 

 
 
 
 
 

国登録文化財 金具屋

普段なかなか時間がとれないのですが、所属している耐震関係の団体の活動に参加させていただき、見学する機会を得ました

中心となっているのは木造4階建ての斉月楼と130帖の大広間です。
昭和11年に斉月楼は完成していますが、今でもその姿を保っています。
構造体は時代の変遷に耐えていくことは可能ですが、設備は改良というよりも交換、新たに設置という手段をとらなくてはならないのでその設置や配管に苦労することが結構あります。

経済的なことだけ考えれば、更地にして建替えるほうがよっぽど簡単です。建替えるよりも改修する方が既存の状況を見極めなくてはならず、技術的には高度と言えます。このあたりが新築にも表面的なリフォーム工事にもでてこないスキルが必要となる点です。
しかし、歴史的に価値あるものを次の世代に使える形で残していくことの大切さがあることもこの建物に関わる人々から学び取れるように思えます。

また、法律の点もクリアーが困難です。現行法規では耐火性能のない状態の木造4階建ての旅館という形は認められませんので、通常ならば使用不可の状態で保存(昔は旅館でした・・・のような感じで)ですが、文化財として特別に認められているようです。

火災などの安全面と文化財としての保存(雨漏り対策などの補修も含めて)に対処せねばならないので泊まる側の人たちも火災を起こさないような注意が必要となってきます。しかし保存だけではなく性能を上げたり、用途を変えたりして生かしながら次の世代に引き継いでいく技術は文化を守るうえではなくてはならないものです。
最新の技術をもってして、建て替えるだけの選択肢しかなければ、きっとどこへいっても同じような風景がのっぺりと広がるようになってしまうことと思います。

文化財とまで認められていない建物であっても、個人的に大切にしたい建物はあるものです。
しかし、存続させるには法律的にも経済的にも難しい・・・そんな問題がこれからはより多く出てくるはずです。
そのような問題にも前向きに取り組んでいきたいと思います。
 

 


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